毛髪とウオーキングの効用・方法

ウオーキングが髪の毛の成長に直接作用するとか、薄毛や抜け毛を抑制するダイレクトな効果があるということはありません。しかしウオーキングは、血行を改善して生体リズムを整えることを通じて、健全な毛髪サイクルを取り戻すことができる環境を整えることにつながります。

(古い毛が抜け落ちたあとで、新しい毛が生えて成長するのが、通常の健全なヘアサイクルです。これについては、毛髪のヘアサイクルで詳しく説明しています)

ここでは、ウオーキングが体に与える効用のうち、特に毛髪との関係で理解すべき点を取り上げ、実践的なウオーキングの方法を詳しく説明していきます。

ウオーキングの効用

まずは、ウオーキングが体にもたらす効用について、髪の毛の成長という観点から特に知っておくべき効果を説明します。

血行の改善

ウオーキングが、健康状態の改善を通じて髪の毛の成長に作用するうえで、最も期待できる点は、血行の改善です。

髪の毛を生成するのは毛根部であり、毛根部にある毛乳頭の働きかけによって、毛母細胞が分裂を繰り返すことで、新たな髪が発毛し、すくすくと伸びていきます。

新たな髪の毛が生成され、どんどん伸びていくためには、酸素や栄養分が必要であり、これを毛根部に送り届けるのが毛細血管です。この仕組みについては、髪の毛の構造で詳しく説明しています。

毛細血管は頭皮環境をはじめ、全身を網の目のように張り巡っています。血液はポンプである心臓から送り込まれ、身体中を循環して酸素や栄養分を運搬しています。

髪の毛の毛根はもちろん、体内のすみずみに十分な栄養分が運ばれるためには、血行を向上させることが欠かせません。

また、毛根や手先・足先などに送り込まれた血液は、心臓に送り返され、新たな酸素や栄養分を受け取って再び身体中を駆け巡ります。このときに必要なのが、足の筋肉のポンプとしての役割です。

下半身の筋肉が弱い方は、頭皮のように心臓から上の部分へと、良好な流れで血液を送り届けることが出来ません。主に太ももやふくらはぎの筋肉を鍛えることは、全身的な血液循環の強い原動力をもたらし、心臓から上にある頭皮の毛細血管にも、好ましい血行を促してくれます。

心臓から送り出される血管は酸素を豊富に含んだ動脈であり、これは心臓がポンプ役となります。その一方、体の隅々から心臓へと送り返される血管は静脈であり、これは主に下半身の筋肉が原動力となります。

これが、「足(ふくらはぎ)は第二の心臓」といわれるゆえんです。足の筋肉は、血管の周りで伸縮することによって、血液を送るポンプの役割を果たしています。これはあたかも乳搾りをするように送り出すため、ミルキング・アクションと言われます。

ウオーキングによって足の筋肉が鍛えられることは、心臓や血管の負担を軽減し、足の筋肉が全身の血のめぐりの原動力として高い機能を発揮することにつながります。これは結果的に、頭皮環境をめぐる毛細血管の作用の向上がおおいに期待できます。

血圧の安定

ウオーキングは、有酸素運動の代表的な運動であり、酸素呼吸と屈伸運動が伴う好気的な運動といえます(有酸素運動については、有酸素運動に毛髪への影響はあるのか?で詳しく説明しています)。

酸素呼吸と屈伸運動は、心肺機能の向上につながります。酸素呼吸は酸素を取り入れる肺の吸収能力を高め、より効率的な酸素の吸収機能に結びつきます。屈伸運動は、先述の通り足の筋肉を鍛え、血液循環の能力を高めて心臓の負担を軽減します。

このことは、多少の負荷がかかっても心臓や肺に大きな負担がかからない心肺機能の安定化、つまり血圧の安定につながります。血圧の安定は、血液が身体中の血管を滞りなく流れやすい環境に貢献します。

もちろん、高血圧・低血圧どちらの方の場合でも、いきなり運動を始めることで、かえって症状を悪化させることがあります。特にこうした診断を受けている方は、ウオーキングを始める前に、医療機関で医師に相談しておきましょう。

ウオーキングの方法

現在では、ウオーキングというトレーニング方法がとても一般的に普及しており、さまざまな書籍やメディアで効果的な方法に関する情報が流れています。そうはいうものの、ウオーキングの方法といっても、「こうしないといけない」ということはありません。

ただ、やはりウオーキングは歩くこと自体が目的ではなく、全身の健康状態の改善を目指すものです。悪い歩き方は体のゆがみを生じさせ、内臓が圧迫してかえって血行が悪くなり、さまざまな疾患を引き起こす原因となります。

その一方、「こうでないといけない」と堅苦しく考えることは、ウオーキングが持っているストレスの低減・解消や、心地よいリラックス効果による生体リズムの安定を阻害することにもつながります。

こうしたことから、ウオーキングの際は、悪い歩き方だけは避け、あとはなるべく適切な歩き方に近い方法で力を入れすぎず、肩肘の力を落としてリラックスした気分で歩くようにしましょう。

ウオーキングの方法でよく言われるのは、足の着地から前に進むときの方法です。着地はかかとから落として、前に足を出す時はつま先で蹴り出すように歩くことが望ましいといえます。また、足が地面につく時は、指の間を広げて地面をつかむようなイメージが良いと思います。

ウオーキングは酸素呼吸を伴う屈伸運動ですから、太ももとふくらはぎを使ってしっかり歩くことが基本です。あとは、あごを引いて背筋を伸ばす、目線は真っ直ぐやや先のほう(10~15メートル先)を見る感覚で、肘は軽く曲げてリズミカルに腕を振るといった点がポイントといえます。

ウオーキングを毎日どれくらい行えば良いのかについては、1日30分という方もいれば、60分という方もいます。毎日歩くことが理想ではありますが、これも義務感を感じたり負担に思うようであればかえって逆効果です。

まずは週に2~3回で構いませんし、いきなり一度に60分も歩く必要はありません。15分とか20分といったウオーキングを1日のなかで2~3回に分けて行うことも、何もしないよりは意味があるトレーニングとなります。とにかく、ある程度の負荷をかけつつ、リラックスした気分でしっかり歩くということが重要です。