薄毛・脱毛症のさまざまな種類

薄毛や脱毛症には、さまざまな種類があります。今回は、こうした脱毛症を症状別に説明していきます。その前に、まず薄毛や脱毛症の範囲を改めて確認しておきましょう。

「脱毛症」とは、本人の意思とは関係なく毛が抜け落ちる生理現象や疾患を意味します。また、美容目的で行われる人為的な体毛への脱毛行為と区別するため、「薄毛」という言葉を脱毛症と同じ意味で使うことがあります。

さらに、毛が抜け落ちる(抜け毛)といっても、健全な毛髪の成長サイクル(ヘアサイクル)の一環として、新たな毛が生成される前に古い毛が抜け落ちる場合と、新たな毛が生えてこなかったり、毛髪が十分に育たないまま抜け落ちることを通じて、次第に毛髪が失われる疾患としての脱毛症は、区別して考えるべきです。

抜け毛がある事自体は疾患ではなく、通常のヘアサイクルを維持しているひとでも50~100本の毛が抜けることは全く異常では無く、珍しいことではありません。正常なヘアサイクルと薄毛・脱毛症の違いについては、毛髪のヘアサイクルで詳しく説明しています。

ここでは、こうした正常なヘアサイクルでは無く、人為的な脱毛行為でもない、薄毛・脱毛症のさまざまな種類を取り上げていきます。

男性型脱毛症(AGA)

男性型脱毛症(AGA)は、男性ホルモンが酵素の働きによって変化をし、それが毛根に影響をおよぼすことで発症する脱毛症です。後述通り女性でも発症する脱毛症ですが、男性では特に多くの方がAGAを発症しています。

AGAの原因や治療法については、男性型脱毛症(AGA)を引き起こす原因は何か?で詳しく説明しています。

びまん性脱毛症/FAGA

びまん性脱毛症とは、毛髪が徐々に薄くなっていく脱毛症です。特に女性に多く見られます。さまざまな原因が考えられており、毛髪ケアや生活習慣の改善が必要とされます。

また、女性も男性ホルモンを少量ながら持っているため、女性でも、先ほど取り上げた男性型脱毛症(AGA)を発症する方が少なくありません。

女性の男性型脱毛症は、男性とは進行のペースが異なり、徐々に脱毛することが多く見られます。その点は一般的なびまん性脱毛症に似ていますが、男性ホルモンが原因であるびまん性脱毛症は、特にFAGAと呼んで区別する場合があります。

女性特有のびまん性脱毛症やFAGAについて、詳しくは女性の薄毛・脱毛症・FAGAを考えるで説明しています。

円形脱毛症

円形脱毛症は、男女問わず、発生頻度が非常に高い脱毛症です。脱毛部分(脱毛斑)が突然発生し、一度に大量の毛が抜け落ちることが多く見られます。原因は、リンパ球の自己免疫反応であることが分かっています。

脱毛斑は1箇所とは限らず、多数の脱毛斑が生じる方もいます。また、全身の体毛が同様の抜け毛になるという方もおられます。自然治癒する方も少なくないのですが、症状によっては治療が難しいケースもあります。

円形脱毛症の状態は個人差が非常に大きく、さまざまなタイプがあります。円形脱毛症の原因や症状、治療法については、円形脱毛症とはで詳しく取り上げています。

出産後の脱毛症/ピルの服用中止

出産後は、急激に一時的な脱毛が起きる場合があります。これは、妊娠から出産を経た時期のホルモンバランスの変化が原因だと分かっています。また、経口避妊薬(ピル)を服用していた方が、服用を中止した場合も、同じメカニズムで脱毛が生じます。

どちらの脱毛も、大半の場合は一過性の脱毛ですが、なかにはこの状態が長く続いてしまう方もおられます。出産後やピルの服用中止による脱毛について、詳しくは出産後に髪の毛が抜けるのはなぜ?で説明しています。

脂漏性脱毛症/粃糠性脱毛症

脂漏性脱毛症は大量の皮脂、粃糠性(ひこうせい)脱毛症は大量のフケが原因で生じる脱毛症です。ともに皮脂あるいはフケが毛穴をふさぐほど詰まるようになることが原因です。

皮脂に関しては、思春期の方や激しい運動をした後など、皮脂が大量に分泌しやすくなります。また、シャンプーなどできちんと頭髪を洗わない状態が続くと、頭皮に皮脂がたまりやすくなります。

フケに関しても、頭髪を洗わない状態が続いていたり、シャンプーなどをきちんと洗い落としていなかったり、整髪料を使いすぎるといったことで、頭皮にフケがたまりやすくなります。

こうした大量の皮脂やフケは、毛穴をふさいでしまうことで、毛根部へのダメージを与えます。これによって頭皮環境は悪化し、脱毛が起こると考えられています。

毛髪の健全な成長を支える髪の毛の基本的な構造については、髪の毛の構造で取り上げています。

牽引性脱毛症/圧迫性脱毛症/湿疹や皮膚炎による脱毛症

牽引性脱毛症とは、ポニーテールなど髪を強く引っ張ったり、きつく縛る力が働き、ダメージを受けた毛髪が脱毛する症状です。

圧迫性脱毛症は、長時間ヘルメットや帽子をかぶるなど、髪を圧迫するような外的要因が働くことで、強い負担を受けた毛髪が脱毛する脱毛症です。

また、パーマやカラーリングなども、ときには湿疹や皮膚炎を引き起こすことがあります。こうした炎症が長引けば、頭皮環境を悪化させ、脱毛に至る場合があります。

代謝異常/神経性の脱毛症

代謝機能の低下は、ホルモンバランスの乱れや血行の悪化から、毛髪の健全な生育を阻害し、脱毛症を引き起こすことがあります。偏った食生活、急激なダイエット、過度の飲酒やタバコ、睡眠不足などが原因として考えられます。

また、ストレスや不安といった精神的な要因が脱毛症を引き起こすことがあります。これを神経性脱毛症と呼ぶ場合もあります。

ホルモンバランスの乱れや血行の悪化がいかに頭皮環境を低下させるかについては、頭皮環境や髪質の低下を見逃さないで説明しています。

他の疾患/薬の副作用

脱毛の原因が、脱毛症そのものではなく、他の疾患の症状の1つとして現れる場合があります。また、薬によっては、副作用として脱毛を引き起こすものもあります。

抜毛症(トリコチロマニア)

抜毛症(トリコチロマニア)は、正常な毛を引き抜いてしまう精神医学の分野の疾患です。心のケアという点では、一般的な脱毛症とは異なりますが、精神科の適切な治療を受ける必要があります。