サプリメントと育毛

今回は、サプリメントと育毛の関係について取り上げます。サプリメントとは、一般に栄養補助食品(健康補助食品)と言われ、不足しがちや栄養分の補給や、ダイエットなど特定の効用があるとされる栄養分を配合した食品を意味します。

最近では、薄毛や脱毛を抑制し、毛髪の成長を促す効用をアピールする育毛サプリメントも登場しています。なかには、あたかも医療用品のような効果を謳った製品もあります。

しかし、サプリメントはあくまでも食品であって、そこに書かれている効用は、医薬品や医薬部外品のような薬効があるわけではありません。育毛サプリメントだけで髪の毛が生えるということはありません。

その一方、ビタミンやミネラルを中心に、髪の毛に役立つ栄養分をサプリメントとして処方する薄毛治療の医療機関(クリニック)もあります。これらが髪の毛の成長に直接作用するわけではないものの、髪の毛の生育に必要な栄養分の補給という意味があると思います。

今回は、こうしたさまざまなサプリメントを取り上げ、育毛との関係を詳しく説明します。

サプリメントとは

サプリメントとは、なんらかの健康増進に役立つと宣伝され、社会的に一般の食品と区別される食品の総称です。日本においては、特定保健用食品(トクホ)、機能性食品、栄養機能食品という制度があります。

特定保健用食品(トクホ)は、国に実験データを提出して審査を受け、消費者庁から認可を受けて効能表示を行うことができる食品です。審査や認可に関して、現在は消費者庁が行いますが、かつては厚生労働省が行っていました。

機能性表示食品とは、安全性や機能性の根拠に関する情報を消費者庁長官へ届け出ることで表示ができる食品です。消費者庁の審査が不要で、消費者庁長官の個別の許可を得たものではありません。

栄養機能食品は、厚生労働大臣の認可は不要で、国が定めた特定の栄養素の基準を満たしていれば表示できます。ただし、「この食品の摂取によって、特定の疾病や症状が改善するものではない」という旨の注意書きや、目安となる摂取量の記載、バランスの良い食事の啓発などの表記が義務付けられています。

また、これらに該当しないサプリメントも存在します。これらは分類上、一般的な食品と変わらないことになります。

育毛や発毛に関する医薬品や医薬部外品(薬用製品など)は、薬機法(旧・薬事法)に基づく国の認可が必要です。特に医療用医薬品は、医師の処方が必要な薬です。

その一方、特定保健用食品(トクホ)や栄養機能食品は、健康増進法や食品衛生法に基づく食品であり、トクホの効能表示は国の認可が必要ですが、医薬品や医薬部外品のような薬効を認めるものではありません。

また、栄養機能食品やその他の健康食品は、食品衛生法に基づく食品であり、効能・効果の表示が認められないものです。

このように、医薬品や医薬部外品を除くサプリメントは、発毛や育毛に関する直接的な効果が認められたものではなく、健全な毛髪が育ちやすい環境をサポートする補助的な役割が期待されているものだといえます。

いわゆる育毛サプリには、主な成分として、イソフラボン、カプサイシン、ノコギリヤシ、亜鉛などを配合したものが挙げられます。確かに1つ1つの成分は、身体にとってとても良いものですし、それぞれが健康増進の効果を持っています。

ただし、育毛効果を謳ったサプリに含まれるこれらの成分は、ただちに育毛に直結するものでは無いことに注意が必要です。また、イソフラボンのように、厚生労働省が過剰な摂取に注意を呼びかけているものもあります。

サプリメントだけで育毛効果を期待するのは無理がありますし、大量のサプリメントの摂取は、かえって身体に良くない影響を及ぼす可能性がある点は注意すべきでしょう。

育毛に役立つサプリメント

とはいえ、育毛のためにサプリメントを摂取することは、全く意味の無いことではありません。薄毛治療の医療機関(クリニック)のなかには、サプリメントを積極的に処方するところもありますし、市販のサプリメントで手軽に栄養補給を行うこともできます。

育毛を促進する目的でサプリメントを使う場合、ビタミンとミネラルの補給が中心といえます。5大栄養素(糖質、脂質、蛋白質、ビタミン、ミネラル)のうち、ビタミンとは炭水化物・タンパク質・脂質以外の有機化合物の総称であり、ミネラルは栄養分として機能する無機物を意味します。

特に、ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビオチン)のうち、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン)、ビタミンB12(シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン)が有益といえます。

ビタミンB1は糖質や分岐脂肪酸の代謝に働き、ビタミンB2は頭髪をはじめ体全体の正常な健康状態の維持に不可欠な物質で知られています。ビタミンB6はアミノ酸の代謝や神経伝達に用いられ、ビタミンB12は葉酸(ビタミンB9)の再生産に利用され、DNAの合成や調整、脂肪酸の合成とエネルギー産生にも関与します。

また、葉酸(ビタミンB9)は、アミノ酸および核酸の合成に使われる物質です。やはり薄毛治療の医療機関によっては、処方されるサプリメントに配合される場合があります。

このほか、壊血病の予防・治療、鉄分、カルシウムなどミネラルの吸収促進に役立つビタミンC、抗酸化物質として働くビタミンE、皮膚疾患の治療薬として知られるビタミンB7(ビオチン)などが挙げられます。

一方ミネラルに関しては、厚生労働省が健康増進法に基づく食事摂取基準の対象として、13元素を定めています(亜鉛・カリウム・カルシウム・クロム・セレン・鉄・銅・ナトリウム・マグネシウム・マンガン・モリブデン・ヨウ素・リン)。

特に発毛・育毛に関しては、亜鉛が重視されます。亜鉛は細胞分裂に大きく関わる物質ですし、酵素の活性、免疫機構の補助、創傷治癒などの役割を持っています。また、鉄分は赤血球のヘモグロビンに含まれ、酸素を運搬する役割が知られています。

また、銅は体内でヘモグロビンが合成されるために欠かせない元素であり、コラーゲン合成に必須なタンパク質の活性化を促す作用も分かっています。マグネシウムについても、タンパク質の合成やエネルギー代謝に欠かせない物質です。

これらのビタミンやミネラルを中心にしたサプリメントは、発毛や育毛の直接的な効果を持ってないとはいえ、特に頭皮環境を改善し、髪の毛の材料をしっかり供給するための栄養分だといえます。

また、ほとんどの栄養分は、一般的な日常生活や食生活を送っている限り、必要な摂取量を得ています。健康的な身体であればただちに欠乏症になるということはありませんし、サプリメントの利用にあたっては、過剰摂取による障害や疾患の可能性にも注意すべきでしょう。