感覚を鍛えて全身への効果から毛髪へ

感覚を鍛えることは、ストレスフリーでリラックスした状態をもたらし、身体が本来持っている自己調整機能を高める効果があります。このことは、心身ともに全身的な改善を通じて、毛髪環境にもより良い影響を期待することができます。

ここでは、そもそも「感覚」(五感)とは何かや、感覚の鍛え方を取り上げ、それが毛髪環境にどう影響してくるのかを詳しく説明します。

感覚(五感)とは

「感覚」と聞いてよく言われる言葉といえば、「五感」を鍛えることです。五感とは、古代ギリシャの哲学者・アリストテレスが人間の感覚をはじめて分類した考え方であり、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の5つに分類しています。

(なお、「第六感」とは、五感に該当せず五感を超越した感覚という意味で使われる言葉であり、インスピレーション、直感、霊感、予知などに類する考え方ですが、理屈では説明できない感覚を指すものであり、通常は感覚に含めません)

現在では、医学や心理学の世界で、人間には5つ以上の感覚があることが分かっています。人間が感知する情報の内容やそのメカニズムの解明とともに、さまざまな分類が行われている一方、未だに明確に判明していない感覚の仕組みもあります。

ただ、厳密な科学的分類とは別に、人間が持っているさまざまな感覚の総称として、伝統的な分類方法を指す「五感」という言葉が、現在でも幅広く用いられており、一般社会でも馴染み深くわかりやすい言葉として使われています。

人間をはじめとする動物は、外的な刺激を受容器(感覚器官)で受け止めます。感覚器官は、それぞれどんな感覚を受け取るかの役割があります。例えば目であれば視覚ですし、耳であれば聴覚です。

ここで、人間はすべての感覚を感じ取って利用するわけではありません。視覚にせよ聴覚にせよ、刺激として受け取れる範囲には限度があります。動物が感覚器官で受け取れる刺激のことを自然刺激(適刺激)といい、受け取れる範囲を閾値といいます。

感覚器官が受け取った刺激は脳に伝えられ、脳はその刺激を反応という形に利用します。つまり感覚とは、反応を起こすことができる刺激を感じ取る方法だといえます。

人間の感覚のうち、触覚は表在感覚(皮膚感覚)の一種です。表在感覚は触覚のほか、温覚(暖かさ)、冷覚(冷たさ)、痛覚(痛さ)、食感、くすぐったさなどが挙げられ、これらはそれぞれ1つ1つの感覚として研究されています。

表在感覚(皮膚感覚)に対して、皮膚と内臓の中間領域で発生する感覚を深部感覚といいます。表在感覚と深部感覚を合わせて体性感覚といいます。体性感覚は脳の視床という部分で処理され、反対側の大脳半球に送られるほか、自律神経系などにも影響を及ぼします。また、深部感覚は小脳でも処理されます。

一方、伝統的な分類上の「五感」のうち、残りの視覚、聴覚、味覚、嗅覚は、特殊感覚に分類されます。特殊感覚にはこれらのほかに、前庭感覚・平衡感覚が含まれます。これらもそれぞれ、感覚器官が受けた刺激を神経活動情報に変換し、脳で処理される仕組みを持っています。

このほか、人間は内臓にも神経を持っており、内臓の状態を感知して脳で処理する仕組みを持っています(「内臓感覚」)。これとは別に、バランス感覚と言われる平衡覚(前庭感覚)、体に対する意識の固有感覚(運動感覚)、いわゆる「かゆみ」の感覚である什痒感などが挙げられます。

ちなみに、動物のなかには、人間が持っていない感覚を持った生物も存在します。これには、コウモリやクジラの反響定位(エコーロケーション)、サメ・エイ・ナマズなどの電気感覚、伝書鳩・渡り鳥などの磁気感覚といった例が挙げられます。

感覚の鍛え方

感覚の鍛え方といっても、何も難しいことをするわけではありません。共通しているのは、感性や感受性を鍛えるということです。

厳密にいえば、感覚と感性(感受性)は同一では無いときがあります。感覚器官が外的な刺激を受け取ったとしても、そこから怒り・悲しみ・喜びといった感情や感動を持つとは限りません。

ただ、外部からの刺激を情報として受け取り、脳が処理する点では同じです。さまざまな対象物から脳からの反応を呼び起こし、気持ちのよい感情を伴うことは、ストレスの低減や解消によるリラックス効果を通じて、全身が持つ調整機能の維持・向上に役立ちます。

子どものうちは外遊びをしたほうが良いと言われるのも、自然の生き物や草花に触れたり、友達とのコミュニーケションを繰り返すことで、さまざまな感受性が磨かれていくからです。

これは大人になっても変わることがありません。新しい体験による「気づき」ということを通じて、感覚を鍛えることが可能です。行ったことが無い街へちょっとした旅行に行って、見たことがない景色を味わったり、その土地ならでは食べ物を食べることも脳の刺激につながります。

また、新しい習い事を始めて、そこで新しいひとと話をすることも、感受性を高まる良い刺激となります。いつも同じ音楽ばかり聴いていないで、たまには新しいジャンルの音楽を聴くといったことも、脳への良い刺激になります。

いつもいつも同じような料理ばかり食べずに、たまには目新しい料理に挑戦したり、コーヒー豆から引き立てのコーヒーをいれて香りを楽しんだり、新鮮な感情を呼び起こすことは、非常に良い刺激となります。

新緑、海岸の潮、草花のにおいや香りを感じたり、光の暖かさや風の冷たさを感じることも、脳には良い刺激となります。外出が出来なくても、アロマをたいて香りを楽しむことも良いでしょう。

また、自分が楽しいこと、興味があることに興じるのも良いと思います。映画館で映画を見たり、好きな本をたくさん読んだり、料理の器や盛り付けにこだわるといったことも、脳を活性化します。

こうしたさまざまな感覚を鍛える取り組みは、心地よい気持ちを心身にもたらし、人間が本来持っている自然治癒力や免疫機能を高めてくれます。全身の健康状態の向上は、毛髪環境を確実に良い方向へ促進してくれるはずです。

人間の自然治癒力と毛髪の関係については、身の回りで出来る薄毛対策でも取り上げています。基本的な生活習慣を見直すことに加え、感性豊か生活をおくることは、頭皮環境にとってもトータルでプラスとなる取り組みといえます。