心のケアを考えるべき時は

今回は、薄毛や脱毛症をきっかけにした心のケアの問題を取り上げます。頭皮環境や毛髪状態の悪化をきっかけにして、不安やうつ気分を抱えるひとも少なくありません。こうした方のなかには、特に心のケアが必要な方も出てきます。

ここでは、髪の毛と心の問題について、医療機関による心のケアが必要な場合まで踏み込んで取り上げます。

毛髪と心の改善に取り組む

髪の毛が抜け落ちる、薄毛が目立つ、新しい髪の毛が生えてこない、禿げた部分がどんどん広がるといった症状は、精神面にも影響を及ぼします。また、心理的な不安やストレスは、頭皮や毛髪環境へのダメージを誘発する要因のひとつとなりえます。

「薄毛・脱毛になったから不安な気持ちになった」のか、「不安な気持ちが薄毛や脱毛をもたらした」のか、どっちが先でどっちが後かという議論は個々のケースにもよるでしょうし、これを特定することは困難でもあります。

ただこれは逆に言えば、髪の毛の状態と心のケアは、ともに取り組むべきことであるともいえます。髪の毛も気持ちも両方とも改善させることで、どちらの悪化も防ぐことができる可能性が高まります。

毛髪の状態と心のケア

髪の毛の薄毛・脱毛症と心のケアの問題は、客観的に見た場合の毛髪の状態と、本人が抱えている心の状態のバランスという問題でもあります。ここには、「髪の毛も心も改善させれば良い」というものでは無い難しさがあります。

明らかに薄毛や脱毛の症状が進行していて、それでは困るとか、この先もっと悪くなるかもしれないと不安だとか、嫌な気分を感じて落ち込むことは自然な反応ですが、その感情が過剰になると不安やうつ病をもたらす可能性があります。

こうした方に対しては、髪の毛の改善そのものに向き合うとともに、髪の毛をきっかけに生じた心身症の進行を食い止め、心の状態も改善させる取り組みが必要となります。

その一方、客観的に見たときに、薄毛や脱毛症がさほど進行していなかったり、一般に気にするほどでは無い状態でも、薄毛や脱毛にとらわれたり、不安が抑えられないという方もおられます。

なかには、第三者的に見ても全く問題の無い頭髪の状態でも、髪の毛が薄くなったことや抜け落ちる毛髪のことを不安に感じるという方もおられます。周囲から「どこもおかしくない」と言われても、本人の不安感は収まらないというケースです。

こうした方の場合は、髪の毛のケアというよりも、本人のその不安感がどこから来ているのかをしっかりと判断してもらう必要があります。もちろん、本人の強い意思があれば、薄毛治療もそれなりに受けつつ、ネガティブな気持ちの原因を突き止めるケアが必要です。

後者のように、髪の毛の状態はそんなに悪くないのに不安が収まらないという場合、薄毛治療を受けることで不安感が低減・解消されれば良いのですが、薄毛治療を受けても一向に収まらなければ、これはもう髪の毛の問題では無く、心のケアそのものの問題といえます。

心のケアを受けるべき時とは

髪の毛が抜け落ちるようになった、弱く細い髪の毛が目立つようになったなど、薄毛や脱毛症に気づいた時、それを避けたい気持ちや嫌な気分、不安を感じること自体は珍しいことでも無く、問題の無い自然な感情だといえます。

しかし、その気持ちが行き過ぎて、夫婦や親子といった家族関係に影響する、仕事が手につかず間違いが増える、学校の成績や友達関係が悪化する、料理・洗濯・清掃などの家事に影響するなど、特定の形となって日常生活に響くようであれば、これは心のケアが必要な領域といえます。

日本の場合、一般に心のケアといえば、医療機関で精神科や心療内科を受けるということになります。両者は重なる領域があるものの、多くの場合「精神科」といえば心の病気そのもの、「心療内科」といえば身体の病気に心の問題が大きく関与している疾患(心身症)を対象としています。

先ほどの例でいえば、薄毛治療によって心の状態が落ち着くようであれば、それは薄毛・脱毛症という身体疾患によって心の問題が生じているといえますし、薄毛治療によっても不安が解けない状態は、心の問題そのものと向き合う必要があります。

このように、薄毛・脱毛症に気づいたときに、後ろ向きな感情が生じること自体は自然な気持ちの向き方ですが、これが過剰になって日常生活へ支障になるようであれば、精神科や心療内科を受けることで、心のケアを考えて良い状態だといえます。