たんぱく質の不足は薄毛の原因にも

たんぱく質の不足は、髪の毛の健全な生育を阻害する可能性があります。髪の毛の主な成分はケラチンと呼ばれるたんぱく質であるため、たんぱく質の不足は、太くて長い健全な毛髪の成長にダメージとなります。

今回は、髪の毛にとっていかにタンパク質が重要かを説明し、偏った食生活や無理なダイエットがたんぱく質の欠乏を招くことについて、頭髪ケアの観点から取り上げます。

毛髪はたんぱく質で出来ている

髪の毛を構成する物質の大半は、ケラチンと呼ばれるたんぱく質です。髪の毛を乾燥させた場合の重量ベースでは、ケラチンが90%以上を占めています。ケラチンは、細胞骨格の中間径フィラメントを構成するたんぱく質です。

細胞骨格とは、細胞質の内部に存在する繊維状の構造で、細胞の形を維持する役目があります。また、細胞内でのさまざまな膜系の変形や移動、細胞小器官の配置、細胞分裂、筋収縮、繊毛運動など、細胞の内外に渡る運動において、物理的な原動力となる細胞小器官です。

細胞骨格は太い方から順に、微小管、中間径フィラメント、アクチン(アクチンフィラメント)という3種類があります。このうち、毛髪を形成するケラチンは、中間径フィラメントを構成するたんぱく質です。

ところで、人間を含む哺乳類の毛は、皮膚の「角質化」によって生じた構造に由来するものです。角質化とは、表皮細胞が内部に蓄積して死滅し、硬化した状態です。これはケラチンの場合、「硬質ケラチン」とも呼ばれる特殊なケラチンになります。

ちなみに、もともとケラチン(keratin)とは「角の物質」を意味し、「角質」(かくしつ)とはケラチンの日本語訳です。ただし、実際のケラチンは、角質化しない上皮組織にも含まれて細胞骨格として機能する場合もあります。

このため、「角質」とはケラチンの別称です。しかし日本では、角質化していない組織におけるケラチンを「角質」と言うことは、ほとんど皆無に近いといえます。

ケラチンが毛髪に与える役割

また、そもそもたんぱく質とは、アミノ酸(正確にはそのうち20種類存在するL-アミノ酸)が鎖状に多数連結(重合)してできた高分子化合物の総称です。髪の毛を構成するケラチンも、アミノ酸の一種のシスチンという物質を多く含んだたんぱく質です。

さらにシスチンは、2個のシステイン分子がジスルフィド結合と呼ばれる共有結合を介して繋がった構造を持ちます。シスチンは含硫アミノ酸(硫黄原子を有するアミノ酸)です。このため、髪の毛を燃やすと、この硫黄分に由来する不快な臭いが発生します。

たんぱく質のうち、連結したアミノ酸の個数が比較的少ない場合にはペプチドと言い、直線状に連なったものをポリペプチドと言います。ただし、これらの名称を厳密に区別するアミノ酸の個数などが決まっているものでは無いと思われています。

毛髪を構成するケラチンも、多数のアミノ酸が鎖状に結合したペプチド鎖が主な構造であり、ジスルフィド結合によって網目状に結ばれています。ケラチンは、毛髪における角質化を通じて、その形状や触った時の感触を決定づける物質といえます。

ケラチンは髪の毛の大半を占めている物質です。髪の毛を触った時の物理的な強度や弾力性、形作られた太さや長さを決定づける上で、絶対に欠かせないたんぱく質だといえます。

たんぱく質不足は薄毛を引き起こす

人間は、たんぱく質を摂取したら、それをいったんアミノ酸に分解します。その後、アミノ酸を組み合わせ、体内に必要なたんぱく質が生成されます。毛髪を構成するケラチンも、体内に取り込んだたんぱく質を分解したアミノ酸が原料となって、体内で作られる物質です。

このため、たんぱく質の摂取量が不足しがちな方は、ケラチンが十分に生成されず、太くて硬い健全な髪の毛が育ちにくくなります。さらにたんぱく質の不足が続けば、髪の毛の生成自体が行われず、薄毛を招く可能性もあります。

このため、偏った食生活を行うことで栄養分のバランスが悪かったり、無理なダイエットでたんぱく質の摂取を急激に減らすと言ったことは、健全な毛髪の成長という点からも避けるべき事柄だといえます。

もちろん、栄養の過剰摂取や運動不足は肥満を招き、血行の悪化を通じて毛髪環境にも悪い影響を与えます。バランスの取れた適度な食事と、無理が無い範囲でのダイエットや運動は、頭皮環境にも良い影響を与えます。

最も重要なことは、たんぱく質の摂取に関して、急激な変化をもたらすような生活を送らないということです。栄養の配分や健康状態に留意して、継続することができる食事の工夫やダイエット・運動を考えていくことが必要です。