身の回りで出来る薄毛対策

自分の日常生活のなかで、身の回りから出来る薄毛対策はたくさんあります。生活習慣を見直すことで、頭皮に優しく、健全な毛髪の生育に向かうような体づくりを行うことが可能です。

身の回りで出来る薄毛対策は、血行の促進とホルモンバランスの改善に良いことが基本です。そのすべてを出来るとは限りませんが、自分が出来ること、これは良いと感じたことを少しづつ取り入れていきましょう。

今回は、こうした身の回りで出来る薄毛対策を取り上げていきます。

睡眠、食事、ストレス

身の回りで出来る薄毛対策として、ここでは、睡眠、食事、ストレスを取り上げていきます。

睡眠

健康な体を整える上で、毛髪の生育にも役立ち、最も簡単に出来ることといえば「睡眠」です。適度な睡眠を取ることは、人体にとって、いわゆる自然治癒力と免疫力の維持・増進に役立ちます。

自然治癒力とは、人間がもともと生まれながらに持っている、病気やケガを自ら治す力のことです。これには自己再生機能と自己防御機能があります。

このうち自己再生機能とは、例えばちょっとした傷口であれば、人体は自らその部分を補修することができるといった機能です。

その一方、自己防御機能とは、人体が外部から入ってきた異物に対し、それに攻撃を行って排除しようとする作用のことです。多くの場合、この異物はウィルスや細菌のことであり、自己防御機能とは免疫力のことだといえます。

病気まで至ることが無くても、人体は胃腸の調子を整えたり、ホルモンのバランスを調節する機能を自ら行っています。こうした身体全体の調子を整える機能は、十分な睡眠が支えているといえます。

睡眠不足の方は、胃腸の調子が悪化し、肥満になりがちです。高血圧、糖尿病、脂質異常症、心筋梗塞、狭心症、脳血管障害といった疾患にかかりやすく、免疫力の低下はインフルエンザなどの感染症や癌の誘因にもなります。

髪の毛に関しても、正常な毛髪の成長サイクルは、生え変わりを通じて新しい毛が生育する生命活動です(→毛髪のヘアサイクル)。これを促すのは、十分な睡眠による自己治癒力と免疫力の維持・増進だといえます。

食事

食事に関しては、バランス良く食べるということと、1日3食規則正しく食べるということに尽きます。

このうちバランス良い食事に関しては、髪の毛の主成分であるタンパク質に加え、毛髪の生育をはじめとする生命活動を促進したり、その作用のエネルギー源として使われる栄養分(ビタミン、ミネラル)を偏り無く摂取すべきです。

タンパク質に関しては脂質が多い肉に偏らず、魚介類、豆類、卵も積極的に取り入れ、ビタミンは緑黄色野菜と果物、ミネラルは魚介類や海藻類というように、栄養素のバランスを自然に考えた食生活をおすすめします。

こうしたバランスの良い食事について、詳しくはバランス良い食事は髪の毛の健康につながるで説明しています。

その一方、不規則な食事は、体内時計を乱します。体内時計をつかさどるのは脳のなかの視交叉上核という小さな領域です。ここには約2万個の神経細胞が存在し、睡眠、覚醒、血圧、体温、ホルモン分泌など様々な生理機能の約24時間のリズムが作り出されています。

不規則な食事は、代謝機能の異常をもたらします。肥満や糖尿病といった疾患を招きやすくなり、身体全体の調節機能の低下を導きます。これは、毛髪の生育にとっても、全く好ましくない状況です。

このため、健全な毛髪環境の維持にとっても、朝食を抜かない、1日3食決まった時間帯に食べる、間食や夜食は極力避けるといった、体内時計をつかさどる神経に良い影響を与える食生活を日常的に心がけることが望ましいといえます。

ストレス

ストレスとは、生活上の重圧またはその重圧を感じる感覚のことです。この重圧のことを、「プレッシャー」と言います。また、ストレスを生じさせる刺激のことを「ストレッサー」といいます。

ストレッサーとプレッシャーの違いですが、ストレッサーとはストレスを生じさせている外的刺激であり、プレッシャーとはストレッサーによって感じている重圧や精神的な圧力のことです。

ストレッサーは何も心理的ストレッサー(怒り、不安など)に限らず、物理的ストレッサー(寒冷、騒音、放射線など)、化学的ストレッサー(酸素、薬物など)、生物的ストレッサー(炎症、感染)などが挙げられます。

人間は、過剰なストレスによって、コルチゾールを大量に分泌することが分かっています。コルチゾールは、副腎(腎臓のそばにある内分泌器)のうち、副腎皮質と呼ばれる部分から分泌される「副腎皮質ホルモン」の一種です。

コルチゾールは、炭水化物、脂肪、タンパク質の代謝をコントロールし、生体にとってとても大事な必須のホルモンです。ただし、コルチゾールは適正値の範囲より多すぎても、あるいは少なすぎても、人体には有害な影響を及ぼします。

大量のストレスを感じた場合、コルチゾールはとても過剰に分泌されます。コルチゾールの過剰な分泌は、血圧や血糖レベルを高め、免疫機能の低下や不妊をもたらし、脳の海馬を萎縮させることが分かっています。

これは、毛髪の健全な生育を悪化させる状態にとどまらず、心身ともに極めて重大な悪影響を及ぼします。血行や免疫力はもちろん、脳の記憶や空間学習能力をつかさどる海馬という部分にも悪いダメージを与えます。

ストレスを生じさせる原因は極力取り除くべきですし、それを直ちに行うことが困難でも、Rest(休憩)、Relaxation(リラクゼーション)、Recreation(レクリエーション)の「3R」の実践、趣味や運動、十分な睡眠といったストレスの低減・解消に取り組むべきでしょう。

その一方、脳下垂体(脳の腹側の直下に存在する内分泌器)から分泌されるオキシトシンというホルモンは、「愛情ホルモン」「幸せホルモン」と呼ばれ、ストレスの低減や幸せな気分をもたらす効果が分かっています。

オキシトシンは、愛撫や抱擁、性交渉、特に性的な興奮のときも分泌されることから、「抱擁ホルモン」と呼ばれることもあります。それ以外でも、母親が赤ちゃんを抱っこする、恋人や夫婦どうしが手をつなぐ、マッサージ、リフレクソロジー、ペットをなでることなども効果があります。

オキシトシンの分泌は何も肉体の物理的な接触にとどまらず、会話、家族団らん、井戸端会議、居酒屋などでの交流など、おしゃべりもオキシトシンを分泌させます。これらは「グルーミング行為」と呼ばれ、あたかも他の動物が毛づくろいをするように、人間はこうした場合にオキシトシンを分泌して、心のケアを行っていると考えられています。

このように、ストレスを解消・低減させ、より快適な心のバランスを保つことは、健全な毛髪の成長にとっても、心身ともに全身から改善に向かわせる最良の取り組みだといえます。睡眠・食事・ストレスと意識的に向き合うことで、薄毛を抑制し、発毛・育毛を促しやすい体質へと変わっていくといえます。