育毛サロン・育毛サービスで毛が生えるのか

育毛「サロン」は、医師が常駐する医療機関ではありません。一般的な育毛サービスは、特に明記していない限り、医師が監修していたり、病院・診療所などの医療機関が併設してある場合でも、医師が常に診察を行っているとは限りません。

また、育毛「サロン」では、医療行為を行うことができません。医療機関では無い育毛サービスでは、サービスを行う者は白衣を着ていても、医師ではありません。

ここでは、医療機関で行う医療行為では無い、一般的な育毛サロンや育毛サービスで毛が生えるのかという根本的な疑問について、詳しく取り上げていきます。

育毛サロンと医療機関の違い

育毛サロンのプログラムは、シャンプー・コンディショナーを使った頭皮の洗浄と補修ケア、薬用育毛剤を使った頭皮や毛髪へのケア、最新の専門機器とスカルプケア剤を使ったさまざまなヘッドスパやマッサージが中心となります。

これに対し、医療機関で医師が行うことができる薄毛治療は、植毛手術、厚生労働省認可の医薬品の処方が挙げられます。植毛手術のうち人工毛植毛は、拒絶反応から来る炎症や化膿のリスクが高く、人工毛植毛はアメリカでは法律で禁止されています。

医師が医療行為として行う薄毛治療では、フィナステリドやミノキシジルなど、発毛そのものの効果が認められた厚生労働省認可の医薬品が使われます。また、植毛手術も、人工毛移植ではなく自毛植毛なら、拒絶反応の心配がありません。

このように、育毛サロンのサービスは、毛髪が育ちやすくなる頭髪環境を整える施術が行われ、医療機関で行われる薄毛治療は、発毛そのものに対処する医療行為が行われます。

こうして見ると、育毛サロンのプログラムは、発毛自体に直接働くものではありません。しかし、基本的な毛髪の成長サイクル(ヘアサイクル)に着目し、毛髪が健康的に生育しやすい頭皮環境を整えることで、自然な髪の毛の成長を期待することができます。

通常、ヘアサイクルは3~6年の周期で成長期→退行期(移行期)→休止期を繰り返し、髪の毛が生え変わりながら総本数を維持する仕組みをとっています。しかし、ヘアサイクルが異常に変化すると、成長期を十分に過ごすことが出来ず、健全な毛髪の成長が阻害されてしまいます。

こうしたヘアサイクルの変化は、血行の悪化や毛根活力の低下が原因とされています。血行や毛根活力には、頭皮環境も影響しています。

育毛サロンではこうした毛髪をめぐる環境に着目し、血行や毛根の活動を阻害する余分な成分を洗浄したり、適度な刺激で心地よいマッサージを行うことで、毛髪が生育しやすい環境づくりを行います。

ここまで見てきたように、医療機関で行う薄毛治療は、発毛自体に直接関わる医療行為を行うものであり、育毛サロンで行う育毛サービスは、毛髪の生育を促す頭皮環境のサポートを行うものだといえます。

育毛サロン業界の取り組み

育毛サロンは、エステティックサービスなどとは異なり、特定商取引法で定められた特定継続的役務提供という法的規制がありません。このため、育毛サービスに関する消費者トラブルも少なくありません。

また、育毛サロンは医療機関では無く、医師が医療行為を行うものではありません。こうした状況に対処するため、育毛サロンを含めた毛髪業界では、一定の基準を明確化した認定資格制度や、消費者保護・個人情報保護に関する業界の自主基準を定めています。

まず、日本毛髪科学協会は、内閣府認定の公益社団法人です。正会員(個人会員)と賛助会員(団体会員)から成り立っており、営利を追求せず、あくまでも中立的な立場で活動する公益団体として、毛髪に関する知識の普及や毛髪科学の調査研究に取り組んでいます。

日本毛髪科学協会では、毛髪診断士、認定講師、認定指導講師という3つの認定資格に関する講習や付与を行っています。特に毛髪診断士は、この協会の商標登録であり、無断でこの名称もしくはこれと紛らわしい名称を使用することは法律で禁じられています。

また、毛髪業界は、日本毛髪工業協同組合という業界団体を設立しています。この団体では、毛髪業界の取引と個人情報の保護・利用に関して、それぞれガイドラインを策定しています。

毛髪業界の取引に関するガイドラインでは、営業、広告表示、設備・衛生、従業員教育、顧客情報管理、相談等受付・対応について事業者が遵守すべき基準をまとめ、消費者の保護や契約の透明性の確保を目指しています。

個人情報の保護・利用に関するガイドラインでは、取扱ルール、安全管理、従業員や委託先に関するルール、取扱・利用・提供、開示・訂正・削除・利用停止、危機管理、苦情の処理について遵守すべき事柄をまとめ、個人情報の適切な保護と利用を目指しています。

日本毛髪科学協会、日本毛髪工業協同組合ともに、アデランス、アートネイチャーなど、日本を代表する育毛サービス企業が加盟しています。それに加え、日本毛髪科学協会は、花王、ライオン、大正製薬、小林製薬など、より幅広く毛髪に関わる企業が団体会員になっています。

育毛サロンのなかには、不当に高額な料金を請求したり、悪質なサービスを行うといった消費者トラブルが報告されています。また、上記の業界団体や公的団体に類似した名称の組織を立ち上げ、消費者の知識不足につけこむケースも考えられます。

その一方、大部分の育毛サロンでは、業界の自主基準を守っており、適切な料金設定で良好なサービスを無理なく選ぶことが出来ます。トラブルから自分自身を守るためにも、育毛業界の健全な発展に取り組んでいるサービスを選ぶことが重要です。