カツラ(ウィッグ)のメリット・デメリット

カツラは、人毛または人工の毛髪で作られたものを頭部にかぶることで、頭髪をカバーするものです。カツラは英語でウイッグ(wig)と言いますが、日本で「ウィッグ」という場合、美容的な側面やおしゃれな用途を強調するニュアンスで使われることが多いといえます。

カツラ自体は、薬用部外品でも化粧品でもありません。しかし、カツラは薄毛に悩む方々に大きな影響を与えるアイテムです。最近のカツラは技術的に飛躍的な進歩を遂げており、人毛と変わらない質感や、周囲に気づかれることの無い自然な完成度を有しているといえます。

従来のカツラは、とても生地が厚く、生え際も不自然で、ひと目でカツラとすぐ分かる違和感を有したタイプが多く見られました。ちょっとした動作や風の影響を受け、ズレてしまったり、飛んでしまうということも珍しくありませんでした。

しかし、2010年ごろから、ポリエチレンなどの化学繊維による人工毛に加え、化学樹脂製の人工皮膚も幅広く活用されるようになりました。21世紀以降、欧米で普及した頭皮一体型の薄型カツラが日本でも広まり、自然で丈夫なカツラが幅広く流通しています。

また、カツラには、カバーできる部分や髪の色・太さなどに応じて、さまざまなバリエーションが開発されています。広範囲をカバーする全頭用のカツラに加え、ヘアピースとも言われる部分カツラは、あらゆる部分に対応したさまざまな大きさのものがあります。

黒髪や白髪といった髪の色にも対応するさまざまなカツラがあり、髪の太さや長さも自由に選ぶことができます。自分の希望に沿ったカツラを作ってもらえるサービスも登場しており、選択の幅は大きく広がっています。

こうした特徴を持つカツラについて、ここからは、そのメリット・デメリットを詳しく見ていきます。

カツラのメリット

カツラを使う最大のメリットは、なんといってもQOL(生活の質)の向上にあります。髪が薄いことは、その事自体がとても強い不安要因です。髪が薄いということで、心が後ろ向きになったり、物事に対する活力を消失させ、内向的な生活になる方もおられます。

カツラをかぶることで、明るさを取り戻し、自信や活力を向上させ、積極的で前向きな生活を送ることができた方は少なくありません。カツラ装着後の満足度が高い方ほど、心豊かな生活や、活力の回復・増進に関する効果が高いと考えることができます。

カツラは、医療現場でも活用が広まりつつあります。円形脱毛症の進行が進んでいる方や、抗がん剤などの副作用で毛髪が抜け落ちた方、他の病気やケガが原因で髪の毛を失った方に対して、医療用のカツラが使用されます。

医療用と一般向けのカツラに特段の区別があるわけではありません。しかし、どちらの場合も、毛髪がなくなったことで失った前向きな気持ち・積極性を取り戻すQOL向上の効果は、非常に大きく期待できるといえます。

もちろん、カツラは着用した瞬間から効果が目に見えて明らかな即効性があります。安全で確実ですし、さまざまなラインナップや自分に合ったカスタマイズを選ぶこともできます。カツラはQOLの向上はもちろん、とても手軽で自由度の高い薄毛対策といえます。

カツラのデメリット

カツラのデメリットとしては、やはり費用の問題が挙げられます。数千円程度の安いものもありますが、高品質なカツラを検討すると数万円~数十万円の出費になります。

カツラの値段に違いが生じるのは、人工毛髪や人工皮膚といった素材にかかるコストのせいでもあります。従来のような厚手の生地ではなく、薄い生地で頭皮によくフィットするタイプのものや、抗菌、形状記憶、透湿性に優れたものは、どうしても高くなる傾向があります。

カツラには、ランニングコスト(継続的な費用)もかかります。人工毛も劣化していくため、数年おきに買い替えが必要です。また、自分の頭皮はもちろんですが、カツラ自体も定期的に洗浄する必要があります。

カツラを洗浄する必要性を知らないという方も多いのですが、それぞれの素材に見合った専用のシャンプーやコンディショナーを使って、見た目の自然さを維持していくことが重要です。

その一方、カツラの毛髪は糊や樹脂成分に弱く、こうした成分が多く含まれる整髪剤は避けるべきです。ジェル、ミスト、スプレーなど、特にハードタイプのものは使わないほうが望ましいといえます。

現在のカツラは大きな進歩を遂げています。とはいえ、やはり風が強いときや、激しい運動を伴う外出などは、カツラの装着は避けたほうが無難です。カツラをつけたままの入浴も難しく、温泉旅行などは注意すべきでしょう。

カツラの品質は格段に向上し、透湿性に優れて汗をかきにくいものも増えてきました。それでもやはり、カツラ着用時の頭皮の蒸れは避けられず、毛髪環境に対する大きなデメリットといえます。

もともと頭皮は常在細菌の多い場所です。そこにカツラをかぶれば汗が蒸発しにくく、温度が高まって蒸れる状態が続きます。このため、頭皮の最近が増殖し、炎症を起こしたり、既存の毛髪にダメージを与え、かえって薄毛を促してしまう可能性もあります。

このほか、カツラを使用する際は、「タイミング」という問題もあります。これは、「いつからつけ始めるか」「いつ外すか」の両面に共通した問題です。

以前まで薄毛だったひとが突然フサフサの髪の毛で現れたり、その逆に、フサフサだったひとが急に薄毛の状態になるということは、本人は非常に勇気のいる選択だと思います。

今まで薄毛に悩んでいた方が、突然カツラにするのは勇気が必要です。また、カツラをかぶりながら自毛の頭髪治療に取り組んできた方は、発毛効果が出だしたときに、どのタイミングでカツラを外そうかという問題に直面します。

カツラはおすすめできるのか?

いままで見てきたように、カツラは、薄毛や脱毛症を抱えた方にとって、とても手軽で現実的な方策となりえます。即効性が高く、QOLの向上という大きな効果が期待できます。

その一方、カツラの装着は頭皮環境の悪化を招き、かえって薄毛を促進する可能性があります。また、カツラの使用に際して、いつかバレるのではないかとか、周囲にどう思われてるのだろうといった、心理的な不安を抱える可能性もあります。

カツラ自体は、確実に見栄えを変化させる良いアイテムだと思います。ただし、自分の毛髪を活かすという面では、根本的な解決策とはいえません。頭皮環境への影響や心理的な負担に加え、費用やメンテナンス、使い勝手の良さも考慮して検討すべきでしょう。