髪の毛の構造

発毛・育毛に取り組むためには、まずは毛髪が育つ基本的なメカニズムを知っておくことが重要です。ここでは、人間の髪の毛の構造について詳しく説明します。

まず毛髪は、毛幹部と毛根部という2つの部分に分かれます。毛幹部とは、頭髪のうち皮膚から上に伸びている部分であり、頭髪のうち目に見える部分といえます。いわゆる「髪の毛」「毛髪」という場合、この毛幹部を指していることが一般的です。

その一方、毛根部とは、皮膚よりも下に埋まっている部分だといえます。毛根部は普段から目にすることは出来ず、地中深くに存在する根っこのようなものだといえます。

ここで、毛髪の2つの部分それぞれについて、下の部分の毛根と、上部の目に見える毛幹という順に、その構造を詳しく見ていきましょう。

毛根の構造

毛根部は「毛包」(もうほう)という、さやのような形状で筒状のものが包んでいます。毛包は哺乳類に見られる皮膚付属器官であり、発毛以外にも、皮膚呼吸(水蒸気などの発散)、皮脂の分泌、汗の発散などの役割を果たしています。

毛包に包まれた毛根部は、皮脂腺、立毛筋とバルジ、毛球部と毛母細胞、毛乳頭などで構成され、毛乳頭は毛細血管につながっています。このうち皮脂腺は、毛根の上部にあり、皮脂を分泌することで頭皮を乾燥から守る役割を果たしています。

ちなみに、いわゆる「毛穴」は、毛包のうち頭皮の表面から見ることのできる部分といえます。皮脂腺が皮脂を分泌するのは、頭髪や皮膚を乾燥肌から守るためですが、皮脂や老廃物があまりにも多く溜まることは、逆に頭皮環境の悪化につながります。

立毛筋は毛包に付着している微小な筋肉です。バルジとは、立毛筋と毛包の結合部のことです。立毛筋とバルジは、いわゆる鳥肌を立たせる役割があります。

鳥肌とは、毛包が皮膚に対して垂直になることで、周囲の皮膚よりも突き出ることになり、汗腺を皮脂で覆うという機能を持った運動です。立毛筋とバルジは鳥肌を立たせる役割があるものの、頭髪の生育には関係が無い部分といえます。

毛根のなかで頭髪の成長に最も関係する部分といえば、毛球部と毛母細胞、毛乳頭、および、毛細血管です。毛球部は毛根の先端部の膨らんだ部分であり、ここに毛母細胞が詰まっています。

毛球は底のほうにくぼんだ部分があり、これが毛乳頭です。毛母細胞は毛乳頭を取り囲むように集まっており、毛乳頭は毛細血管とつながっています。毛細血管は、毛包の周りを網の目のように張り巡っています。

毛細血管は、身体中に栄養分や酸素を運搬する役割があります。毛細血管は毛髪に関しても、毛乳頭と結合して毛母細胞に必要な栄養分を送り込む役割を果たします。このため、血のめぐり、つまり、血行の改善は、毛髪の成長に影響を与えると考えられます。

毛乳頭自体は毛細血管と結合した部分であり、ほとんど細胞分裂を行わないところです。その一方、毛細血管から受け取った栄養分を毛母細胞に受け渡し、毛母細胞の細胞分裂を促す役割があるとされています。

この毛母細胞の分裂こそが、発毛であり育毛です。毛母細胞が分裂を繰り返し、分化と増殖を繰り返しながら上に伸び、毛根から押し出されて毛幹になることで、一般的な「髪の毛」として生育し、伸びていくことになります。

毛幹の構造

毛幹とは、頭髪のうち皮膚の上から目に見える部分であり、いわゆる「髪の毛」です。毛髪は、ケラチンという硬質たんぱく質が主な成分です。ケラチンは、髪の毛のコシやハリを形成する物質といえます。

髪の毛は、3つの層からなる三重構造です。中心部が毛髄質(メデュラ)で、その周囲を毛皮質(コルテックス)が取り巻き、その外側を毛表皮(キューティクル、角皮、クチクラともいいます)が覆っています。

メデュラは通気性があり、ハチの巣のような内部がすかすかの構造です。主に欧米人を中心に、メデュラが無い方も少なくありません。メデュラの働きに関しては、ほとんどよくわかっておらず、今後の解明が待たれる部分だといえます。

コルテックスは縦方向につながった繊維状のたんぱく質で出来ており、髪の毛のしなやかさや太さ、なかなか切れにくい強さに関係している部分です。また、メラニン色素を大量に含んだ黒髪、二次的に生じた色素脱落による金髪や茶髪といった、髪の色にも関係しています。

キューティクルは、うろこ状のものが同じ方向に平たく何枚も重なり合った、とても丈夫な膜です。キューティクルは毛髪の内部構造を守る役割があります。

キューティクルは髪の毛の最も外側の部分ということもあり、毛髪を触った感触や髪のツヤを決定づける部分でもあります。もちろん、キューティクルが傷つくことは、頭髪を構成する内部の部分まで傷つけることにつながります。

ところで、コルテックスが太く、繊維状のたんぱく質組織が多い方は硬い毛になりやすく、その逆の方は柔らかい毛になりやすいといえます。また、キューティクルの重なりが多い(厚い)方も硬い毛になりやすく、その逆の方は柔らかい毛になりやすいといえます。

このように、髪の毛の構造は人間どうし同じであっても、その髪が持つ性質は、ひとそれぞれであり、個々の性質に見合った頭髪ケアが必要だといえます。今回とりあげた髪の毛の構造を踏まえ、毛髪のヘアサイクルでは、毛髪が生成されて成長するヘアサイクルを取り上げます。