髪の毛のお手入れは自己修復できないから

今回は、そもそもどうして髪の毛のお手入れが必要なのかについて、髪の毛の性質と髪の毛を取り巻く環境という2つの面から取り上げます。

髪の毛の性質とお手入れ

そもそも髪の毛とは、表皮細胞が細胞分裂をやめて死滅した状態のあと、硬く強靭な集合体を形成した状態です。この状態を角化または角質化といい、人間の髪の毛(毛幹)は、主にケラチンと呼ばれる硬いタンパク質が角化した状態です。

髪の毛は、細胞が死んでいる状態です。これに対し、髪の毛のもととなる毛母細胞は毛根に存在し、細胞分裂を繰り返して毛髪を生成しています。この細胞分裂を行うことを停止し、皮膚の上から目に見える髪の毛になっている状態が毛幹です。

「死んだ細胞」という状態の髪の毛は、細胞分裂をやめているため、自ら修復する機能がありません。このため、傷んだ髪の毛の修復には、トリートメントなどを活用して外部からお手入れをすることが必要といえます。

髪の毛のしくみは、髪の毛の構造で説明した通り、毛髄質(メデュラ)で、毛皮質(コルテックス)、毛表皮(キューティクル)の三重構造です。

このうち最も外側にあるキューティクルは、何重にも重なって表面を覆っており、毛髪の内部構造を守る役割があります。髪の毛にダメージがあると、これがめくれ上がったりはがれ落ちたり、隙間ができてしまいます。

キューティクルに異常が生じると、髪の毛の内部を守る機能が低下し、保湿・保水能力が失われます。こうなると、ケラチンを主成分とした繊維が結合し、髪の毛のしなやかさと強さの役割を果たしているコルテックスの弾力性もゆるくなってしまいます。

このような状態を放置しても、髪の毛は自分で改善することはありません。髪の毛は毛根部の細胞分裂によって根本が伸びていくのであって、毛先や毛の途中が細胞分裂を繰り返しているわけではないからです。

髪の毛を取り巻く環境と修復

日常生活のなかで、髪の毛はさまざまな環境の影響を受けています。最も悪影響があると考えられるのは、保水・保湿機能が低下し、乾燥した状態になることです。これを招くのは、先程髪の毛の性質の部分で説明した通り、キューティクルが開いたり隙間ができる状態です。

例えば、海水浴のあとに濡れた髪をそのままにしておくことは、最も避けるべきことの1つです。海水に含まれる塩は、髪の毛の水分を過剰に吸収してしまいます。海で泳いだあと髪の毛をそのままにしておくと、ざらついた感じになったときが、この危険信号です。

また、海水のpHはアルカリ性であり、海水で濡れた髪は弱いアルカリ性になりがちです。これは、紫外線や乾燥に伴うダメージを受けやすくなる状況を招きかねません。

ただでさえ、髪の毛を濡らした状態はキューティクルが開きやすい状態です。これに加えて、塩分や紫外線による乾燥リスクは、ちょっとした刺激でもダメージを受けやすい状況となります。

海水浴などを行って海水で濡れた髪は、そのまま放置して乾燥を待つのではなく、乾く前に真水で丁寧にすすぐことを心がけましょう。もちろん、濡らしたままではキューティクルが開きます。海水を落としたあとはタオルドライを心がけ、優しくそっと拭いましょう。

このほかにも、補修成分が含まれていないシャンプーは、あくまでも髪の洗浄が目的です。シリコンとノンシリコン、シャンプーはどちらが良いのか?でも触れましたが、補修機能を明記していないシャンプーを使う際は、トリートメントを併用することで、髪の毛の内部までケアしましょう。

濡れた髪はキューティクルが開きやすい状態ですが、正しい洗髪法を身につけようで説明した通り、ドライヤーを使うことも、地肌まで乾かすことを意識しつつ、あまり長時間に渡って使い続けないことが重要です。

このほか、カラーリングやパーマ液などの化学薬品、ブラッシングによる摩擦、ヘアアイロンを使う場合の熱、毎日浴びている紫外線など、髪の毛を乾燥させたり、キューティクルが開いてしまうリスクは日常生活のなかでいくらでも考えられます。

ここまで見てきた通り、髪の毛の性質がわかった上で、毛髪を取り巻く環境の影響を考慮すれば、どんなときに特に注意すれば良いのか、ちょっとした手間をかけてケアすることの重要性を理解してもらえると思います。

もちろん、普段からできる髪の毛のケアとしては、リンスまたはトリートメントで髪の外部から補修することが基本かと思います。リンスとトリートメントの違いについては、先ほども取り上げたシリコンとノンシリコン、シャンプーはどちらが良いのか?で説明しています。

その一方、髪の毛は自分で自動的に自己修復することが出来ないという性質を踏まえ、海水や紫外線など、髪の乾燥に関わるダメージリスクを避けていく日々の注意が必要だといえます。