育毛剤の間違った使い方に注意

ここでは、医療機関を通さずに購入できる育毛剤を想定し、主に頭部に塗布するタイプの育毛剤を対象にして、間違った使い方を取り上げていきます。

育毛剤の基本は、説明書に書いてあるとおりの使用法を守ることです。どの育毛剤にも説明書がついていると思います。使用容量や使用回数はもちろん、使用に関するさまざまな注意事項が記載されています。

育毛剤の説明書は、誰もが安心して安全に使うことができるだけでなく、発毛効果を最も効率よく、有効に引き出すための最適な使い方を掲載したものでもあります。育毛剤は「何を」使うかも重要ですが、「どのように」使うかも非常に重要だといえます。

その一方、育毛剤に関しては、決して好ましくない間違った使い方もよく見られます。ここでは、こうした育毛剤の誤った使い方について取り上げていきます。

育毛剤を使うタイミング

育毛剤の説明書には、どれだけの量をどれだけの回数で使うかといったことと同時に、どの時点で使うべきかについても記載があると思います。これは、有効成分が頭皮に最も浸透しやすいタイミングが考慮された上で考えられたものです。

これを間違えると、せっかく塗布した育毛剤も、水分とともに頭皮から離れていったり、有効成分が十分に吸収されないといったことが起こります。それぞれの育毛剤において、説明書で指示されたタイミングを守って使うようにしましょう。

一般的には、シャンプーやコンディショナーで髪を洗ったあとで、あまり間をあけずに使うよう指示されている育毛剤が多いと思います。これはやはり、皮脂や老廃物といった邪魔な要素が少なく、頭皮環境が清潔なうちに使ったほうが、有効成分が浸透しやすいという利点があるからだといえます。

これが1日に2回以上使うタイプの育毛剤ではどうでしょうか?こうした育毛剤を使う方がすべて、毎日朝と夕方にシャンプーなど洗髪をするとは限りません。

こうした場合は、少なくとも1回は入浴や洗髪のあとに育毛剤を使う、ということを心がけておけば十分だと思います。1日1回だけ使えば良い育毛剤にこだわる必要もありませんし、後述通り極端に頭皮環境の洗浄にこだわる必要もありません。

頭皮を傷つけない

シャンプーや育毛剤で頭皮環境を整えるといっても、1日に何度も洗髪を行ったり、説明書で記載された使用回数や使用容量以上に育毛剤を使うのは、明らかに間違った使い方だといえます。

また、頭皮に刺激を与えることや、頭皮環境の洗浄にこだわりすぎて、あまりにも強く洗ったりこすったりすることは、かえって毛髪が生育する環境を阻害する要因ともなります。

頭皮も手のひらや足の裏などと同じ皮膚のひとつです。手や足をかきむしれば皮膚が傷つき、炎症や化膿を引き起こす原因となります。これと同じように、あまりにも強い刺激を頭皮に与えることで、皮膚に傷が生じて湿疹やかぶれ、不快な症状の原因となります。

皮膚炎が生じたところは、雑菌が入りやすく、細菌感染による感染症のもととなります。特に頭皮は常在細菌が多く、感染症は重大な結果を招きやすい場所でもあります。特に毛穴周りが傷つくと、細菌が体内に入りやすい環境となってしまいます。

そこまで行かなくても、皮膚が荒れることは、血の流れを悪くして血行を悪化させ、正常な頭皮の成長サイクル(ヘアサイクル)にとって好ましくない環境となります。育毛剤を使う場合も、皮膚の組織を壊さない程度の刺激を心がけ、適度に清潔な頭皮環境を目指しましょう。

育毛剤は併用すべきでは無い

育毛剤を使う方のなかには、2つ以上の育毛剤を併用するという方もおられます。これも一般的には間違った使い方だといえます。医師による処方や指示に基づく場合や、育毛剤の説明書・添付文書で特に明記された場合を除けば、複数の育毛剤を併用すべきではありません。

2つ以上の育毛剤を同時に使うことは、ある育毛剤の使用容量や使用回数を超えて使うことと同じです。頭皮は一度に吸収する有効成分の処理能力に限度があります。育毛剤は、有効成分の浸透による効果が最も表れやすい分量を考慮して作られています。

このため、複数の育毛剤の併用は、必要以上に有効効果を頭皮にもたらすことで、かえって頭皮に負担を強いることになりますし、有効に使われることの無い無駄な使用ともいえます。

結果として、育毛剤を指定された分量以上に使うことは、過剰に頭皮環境を洗浄する場合と同じように、毛髪へのダメージや頭皮環境を荒らしてしまうことにつながります。根拠なく複数の育毛剤を併用することは、行うべきことではありません。

単純に考えて、いくつかの育毛剤を同時に使っていると、発毛効果があると感じた場合でも、頭皮が荒れてしまったという場合でも、どちらの場合でも、それが「どの育毛剤によるものなのか」を特定することは難しくなります。

育毛剤は「使ってみないと分からない」という点があります。だからといって、2つ以上の育毛剤を同時に使い続けることは、発毛の効果にしろ頭皮の悪化にしろ、その原因を突き止めることが困難になるという意味でも、間違ったやり方だといえます。

海外の育毛剤を使うのは危険

同じ成分を使った育毛剤でも、日本国内で製造販売されている育毛剤と、海外の育毛剤では、濃度の違いや経口薬・外用薬といった違いが見られます。

最もよく知られているのは、ミノキシジルです。ミノキシジルはもともと高血圧の方への治療薬として開発され、内服する血圧降下剤として開発された成分です。その後、脱毛から回復する効果が確認され、育毛剤としては頭部に塗布する外用薬として認められています。

ミノキシジルは、日本では外用薬の育毛剤「リアップ」(大正製薬。第1類医薬品)として販売されています。ただし、内服薬としては副作用が確認されており、日本では承認も認可もされていません。

その一方、海外では、外用薬の育毛剤としては「ロゲイン」(Rogaine)という名称で販売されており、日本のリアップよりもミノキシジルの濃度が高めになっています。

また、海外では、ミノキシジルは内服薬の「ロニテン」(Loniten)として販売されており、ジェネリック医薬品も流通しています。こちらは、本来は高血圧の患者の方向けの血管拡張薬です。

薄毛や抜け毛で悩む方には、こうした海外の育毛剤を試してみたいと思う方も少なくありません。しかし、リアップ以外のミノキシジル成分は、日本では未承認・未認可であり、医師が個人輸入して処方したとしても、国の医薬品副作用保護制度をうけることはありません。

リアップを含めたミノキシジルは、重い低血圧、不整脈、性欲減退、勃起不全などさまざまな副作用の可能性が告知されています。特に、日本で承認や認可を受けていない薬は、安全性という面から使うべきでは無いといえます。

同じ成分であっても濃度が違うのは、日本の育毛剤は日本人の平均的な体質などが考慮され、日本人に見合った発毛効果と、副作用が出るリスクとのバランスを考えたうえで調整された結果です。

その一方、海外の育毛剤を日本人が使うことは、発毛効果以上に重大な副作用を招くリスクを抱えることになります。このため、安易に海外の育毛剤を使うことは、特に避けるべきだといえます。