育毛・発毛、増毛、植毛、カツラ(ウイッグ)の違い

育毛・発毛、増毛、植毛、カツラ(ウイッグ)は、髪の毛を増やすという目標は同じですが、そのアプローチは全く異なりますし、それぞれにメリット・デメリットがあります。ここでは、それぞれの特徴を取り上げていきます。

育毛・発毛とは

育毛・発毛は、自分の髪の毛が自然に育つように促すケアを意味します。他のケアとの違いは、人工毛髪を使ったり、毛髪を採取するといったことが無く、ありのままの自毛を健康的に活かすという点です。

育毛はすでに生えている毛の健全な成長を促進し、発毛はなかなか生えてこない毛の発生を促すケアといえます。髪の成長サイクルに働きかけて毛髪の自然な生育を促すという意味で、どちらも同じケアだといえます。

育毛・発毛は、毛髪の成長サイクル(ヘアサイクル)に着目しています。普通は成長期→移行期→休止期を繰り返して毛髪の総本数が維持されたまま生え変わるのですが、成長期が短縮して毛髪が十分に育たなくなるなど、ヘアサイクルが変化することで、異常な薄毛や抜け毛が発生してしまいます。

皮脂や老廃物が残留していたり、血行不良や毛根の活力が低下していると、正常なヘアサイクルが阻害され、毛髪が育ちにくい環境へと悪化します。そこで育毛・発毛ケアでは、こうしたヘアサイクルに関わる要因に働きかけ、ヘアサイクルの正常化を促す環境の整備をサポートします。

育毛・発毛で最も手軽で一般的によく知られたケアは、スカルプ(頭皮)ケアです。シャンプー、コンディショナー、育毛剤を使ったケアのほか、服用する育毛剤やサプリメントも登場しています。

薬用シャンプーは不要な皮脂や老廃物を除去し、頭髪を洗浄します。シャンプーで清潔になった頭髪に対し、コンディショナーは毛髪を補修し、成長を阻害する要因から髪の毛を守る役割を果たします。

育毛剤は髪の成分を促す因子に働きかけ、毛母細胞の活性化をサポートするといった機能を通じて、ヘアサイクルの正常化を促す役割を持つものが多く見られます。

シャンプー→コンディショナー→育毛剤は、一貫性のあるものを使うことで、正常なヘアサイクルを阻害しない頭髪環境を整えたり、成長因子へサポートを行うといった、健康的な育毛・発毛への効果が最大限に期待できます。

育毛・発毛に関しては、自宅で手軽にできるケアのほか、毛根活力の向上を促したり、血行の改善といった、より踏み込んだ頭皮環境の改善を受けるのなら、専門サービスの育毛プログラムがおすすめできます。

育毛・発毛は、自らの頭皮や毛髪に対して自然な成長を働きかけるケアです。他の方法に比べて即効性があるわけでなく、効果には個人差もあります。その一方、人工毛髪や自毛の採取などは一切無く、健康的な頭皮環境を整えるというプロセスは、最も安全性の高い健全なケアだといえます。

増毛とは

増毛は、自分の髪の毛に、複数の人工毛髪を結びつける技術です。育毛・発毛とは違ってすぐに効果が出る即効性があり、確実に髪の毛を増やすことができます。

増毛は外見に直接働きかけるケアといえますし、増毛しながら育毛・発毛ケアを併用することもできます。人工毛髪は以前に比べて格段に進歩しており、ヘアスタイルも自由にアレンジできるなど、自然毛髪に限りなく近い性質を持っています。

人工毛髪は、太い・細いといった髪質や、黒い・白髪・茶髪といった髪の色、長い/短い・アクティブ・シック・明るいトーンなど、さまざまな髪の性質のバリエーションに対応するものも増えています。

また、頭髪のどの部分でも好きなだけ増やすことができる増毛プログラムも登場しています。1本1本の髪の毛を丁寧に増やし、数本~数百本といったごく少量から数千本~数万本といった全体的な増毛も可能です。

増毛は人工毛髪を結びつけた自毛が抜け落ちれば、増毛した部分も同時に抜け落ちます。また、自毛が伸びてくると結び目がずれてくるといったことが生じるため、目安としては月1~2回程度のメンテナンスが必要となります。

しかし、増毛はカツラのように取り外しを心配する必要がありません。人工毛髪は非常に高い進化を遂げており、自毛とほぼ変わらぬ質感で違いを気づくこともほとんどありません。すぐに確実な効果があるため、とても人気が高い毛髪ケアといえます。

植毛とは

植毛とは、文字通り毛を田植えのように植え付ける方法です。植毛は、日本では医療行為として扱われ、医師によって実施されなければならないと法律で定められています。これは、育毛・発毛や増毛と大きく異なる点です。

植毛には、自毛を移植する「自毛植毛」と人工毛髪を使う「人工毛植毛」の2つの方法があります。ただし、人工毛植毛はアメリカでは法律で禁止されており、日本でも評価が低く、一般的には広く行われることの無い方法です。

人工毛植毛は、人工毛髪への免疫反応からアレルギー・拒絶反応や細菌感染による炎症・化膿といったリスクが高く、自毛への悪影響も心配される方法です。日本では禁止されていないため、人工毛植毛を行うところもあるのですが、おすすめは出来ない方法です。

その一方、自毛植毛は、自分の毛髪を移植する(自家移植)ため、免疫反応や拒絶反応といった心配がありません。欧米では盛んに行われている方法であり、日本でも次第に広まっている方法です。

自毛植毛は、皮膚と一緒に毛根ごと毛髪を採取して移植する薄毛の治療法です。この際、主に後頭部(あるいは側頭部)から採取されます。これは、これらの部分では5αリダクターゼ2型が存在しないため、移植後も男性型脱毛症(AGA)が起きないからです。

自毛植毛の最大のメリットは、自然な感じで確実に髪の毛を増やせる点です。自毛ですから毛の流れが自然になりますし、時間がたつごとに周囲とよく馴染みます。特別なメンテナンスも不要です。

その一方、自毛植毛は医師が行う医療行為(外科手術)です。薬による副作用などは考えにくいのですが、術後に知覚異常やしびれが残るという場合もまれにあります。

また、手術の成否、術後の経過、痛み・仕上がり具合・定着の度合いなどは、適切な検査と経験豊富な医師の技量次第といった面はあると思います。術後には、採取した部位と移植した部位に縫合跡が残ります。

自毛植毛は医療行為ですが、保険が適用されない自由診療です。費用はとても高額ですが、術後に維持費などがかかることは無いため、長い目で見ればそう高いとも言いきれないと思います。

なお、採取できる後頭部などの毛髪には限りがあります。自毛植毛は全体的に薄毛が進行している方には向いていません。どちらかといえば、部分的に狭い範囲をケアするのに向いている方法だといえます。

カツラ(ウィッグ)とは

カツラは、人工毛髪を装着して薄毛部分をカバーするものです(天然毛髪を使うカツラもあります)。カツラは英語でウイッグ(wig)と言います。ただし日本の場合、ウィッグという名称は、カツラをおしゃれに活かそうとする美容的な要素を強調する場合に使うことが多い言葉です。

カツラには、総カツラや部分カツラ(ヘアピース)がありますし、人工毛髪も限りなく自然な毛髪に近いほど進歩しています。抗菌、形状記憶、透湿性など、さまざまな機能も向上しています。

カツラの費用は一概にはいえません。数千円の手軽なものから、数十万円もする高品質のものもあります。また、カツラの毛が伸びることは無いものの、自然な質感を維持するためにメンテナンス費用がかかります。

カツラはハードタイプの整髪剤に弱く、ジェル、ミスト、スプレーなどを選ぶ際は注意が必要ですし、できるだけ避けることが望ましいといえます。カツラを装着したままの入浴、水泳、強い風や激しい動作を伴う外出や運動なども控えたほうが良いでしょう。

カツラ自体は即効性があり、確実に見た目を変えられるアイテムといえます。カツラを装着した満足度が高い方ほど、気持ちが前向きで積極的になり、活力が高まる効果が期待できます。

円形脱毛症の症状がひどい方や、他のケガ・病気・薬剤の副作用(抗がん剤など)の影響で毛髪が抜け落ちた方には、医療用のカツラが使われます。医療用と一般のカツラに特別な区別は無く、カツラはあらゆる方にとって、QOL(生活の質)の向上につながるアイテムといえます。

ただ、カツラにもデメリットはあります。性質や機能が大きく向上したといっても、頭皮の蒸れは避けられず、暑い夏に限らず、湿気の多い梅雨や暖房が強めの冬の室内も、カツラや頭髪には過酷な環境となります。

また、カツラをかぶり続けることは、残った自毛の頭皮環境にも良いとは言えず、かえって薄毛を促す可能性があります。カツラは着用効果が即座に出ますし、とても気軽な方法ではあるのですが、頭髪トラブルへの根本的な解決策では無いことに留意すべきでしょう。