バランス良い食事は髪の毛の健康につながる

食事はバランスを考えて摂取することが、髪の毛の成長を考える上で最も重要なポイントだといえます。現在ではさまざまな食材に関して、髪の毛に良いという情報が流れています。ただ、特定の食べ物が直接的に育毛効果があるわけではありません。

今回は、偏った食事ではなく、バランスの取れた栄養分の摂取の重要性と、健全な毛髪環境を整えることの関係について、詳しく見ていきます。

タンパク質はそのまま吸収されない

髪の毛の主成分はタンパク質です。タンパク質はいくつものアミノ酸が結びついてできた物質の総称であり、アミノ酸もタンパク質もさまざまな種類が存在しています。

その一方、人間は摂取したタンパク質をそのまま利用せず、体内でいったんアミノ酸に分解し、これらのアミノ酸をもとに自分の体に必要なタンパク質を必要なぶんだけ合成して、体の各組織に送ります。

これを毛髪にあてはめると、髪の毛の大半を構成する主成分はケラチンと呼ばれるタンパク質です。ケラチンもタンパク質の一種ですから、さまざまなアミノ酸で構成されています。

ここで、「ケラチンが髪の毛を構成しているのだから、ケラチンを摂れば摂るほど髪の毛がよく生える」と考えるのは早計です。ケラチンもタンパク質ですから、いったんさまざまなアミノ酸に分解され、人体の必要度が高いタンパク質に合成される原料として使われるからです。

このように、髪の毛の主成分であるタンパク質を摂ったからといって、それが100%髪の毛に使われるとは限りません。

その一方、人間はアミノ酸を原料にして体内でタンパク質を作ることができますし、ケラチンを作ることもできます。さらに、タンパク質のもととなるアミノ酸については、人間は体内で十分な量を元から自前で作ることが出来ず、栄養分として摂取する必要があります。

このため、100%髪の毛に使われることが無いからといって、タンパク質を摂ることに意味が無いわけではありません。むしろ、多くのアミノ酸の摂取につながるため、さまざまなタンパク質を摂ることが、毛髪を含む数々の生命活動に必要だといえます。

人体はケラチンを合成する仕組みを持っていますし、ケラチンそのものに限らずタンパク質を幅広く摂取することで、そこから分解されたアミノ酸をもとに、ケラチンが合成されることもあります。

(タンパク質の不足が薄毛を招く点について、たんぱく質の不足は薄毛の原因にもでは、特にケラチンを中心に説明しています)

毛髪に役立つ栄養分の摂取を

髪の毛の生育のためには、髪の毛そのものの原料となる物質だけでなく、その生成作用に働きかける物質の摂取も必要です。

例えば、コラーゲンもタンパク質の一種です。研究が進んでいる約30種類のコラーゲンのうち17型コラーゲンは、毛髪のもとになる細胞を生み出す毛包幹細胞と、黒髪のもとになる色素細胞を生み出す色素幹細胞の生存にとって、必須の物質であることが分かっています。

17型コラーゲンそのものが髪の毛のもとになるわけではありません。しかし、17型コラーゲンは白髪や脱毛を抑制し、黒い髪の発毛作用にとって必須の環境を整えてくれます。これが無ければ、黒髪は一向に生えず、白髪と抜け毛が進行します。

コラーゲンもタンパク質ですから、いったん体内でアミノ酸に分解され、人体に必要なタンパク質を作る材料となります。しかし、人間はコラーゲンを合成することができますし、十分なアミノ酸を自前で元から作ることができないため、さまざまなタンパク質を摂取することにはおおいに意味があります。

こうした例から見ても分かる通り、発毛・育毛を促すには、ケラチンのような「髪の毛の成分だけたくさん摂取すれば良い」というものではありません。17型コラーゲンのように育毛環境に必須の物質や、発毛・育毛作用のエネルギー源となる栄養素をバランス良く摂取する必要があるといえます。

(17型コラーゲンが髪の毛に与える影響については、17型コラーゲンが白髪・脱毛を抑制するで詳しく説明しています)

「これさえ食べれば髪がどんどん増える」という食材はありません。その代わり、髪の毛の成分そのものだけでなく、育毛環境に欠かせない物質や、毛髪の生成作用を促す物質、その生成作用のエネルギー源となる物質をバランス良く摂ることが、健全な髪の毛の成長にとって最も重要なポイントだといえます。

頭髪に良い食事のバランスとは

髪の毛の成分そのものはタンパク質ですし、タンパク質のなかには毛髪環境に必須のものもあります。その一方で、それだけで人体が、毛髪の健全な育成に向かってくれるわけではありません。

特に必要なものは、ビタミンとミネラルです。これらは髪の毛そのものになるわけではありませんが、毛髪の成長をはじめとする生体内のさまざまな作用を促したり、体内活動のエネルギー源となってくれる栄養素です。

人体の代謝活動やホルモンバランスの調整といった生命活動には、それを体内で働きかける物質があります。また、こうした活動自体、労力が要るものですし、そのエネルギー源として消費される栄養素が必要です。

薄毛・抜け毛の抑制や髪の毛の成長も、こうした促進作用やエネルギー源となる物質が必要な生命活動のひとつです。その代表格はビタミンやミネラルであり、タンパク質と同じようにバランス良く摂取することが、非常に重要だといえます。

(ビタミンやミネラルのなかでも特に髪の毛の成長に役立つ物質については、サプリメントと育毛で取り上げています)

タンパク質といえば肉類が真っ先に思い浮かびます。ただ、肉ばかり食べるのは脂質もあわせて摂ることになり、肥満を招くことになります。このため、魚介類、大豆、納豆、牛乳、卵など良質のタンパク質を含んだ食材も活用し、バランス良く摂取すると良いでしょう。

また、ビタミンといえば緑黄色野菜や果物です。ミネラルといえば魚介類や海藻類です。肉ばかりだけでなく、こうした食材を偏り無く食べることで、日常の食生活から髪の毛の健康を促すことは十分に可能です。